それでも宮古か? 多良間か? たらまー6
オリオン生を注文し誰もいないソファを独り占め。
店内はけっこう広い。島思いの3倍はありそうだ。
中年の男性をステージの真ん中に立たせ、「19の春」を演奏している。
三線も太鼓も、ラフな弾き方が、余裕を感じさせる。
店が広いから音も良いね。
中年の男性の歌が終わった。
太鼓の女性が「そこのお兄さん、歌いませんか?」とステージから呼びかけている。
嗚呼、俺のことか…。
歌うことに異存はない。ステージに向かう。
ステージと客席は20センチくらい段差がある。
上がろうとしたら、「あっ! そこでサンダル脱いで!」と三線奏者に注意され凹む始末。
「お兄さん、何か歌いますか?」
「じゃあ、島唄で」
「ああ、とてもすばらしい選曲だわ。ね、お兄さん。せっかくだから衣装を着ましょうか? 雰囲気が出ますよ」
「わかりました」
太鼓女性がステージの隅のハンガーにかかっている衣装を出してくれた。
「あら? とっても似合うじゃない」
三線奏者は歌持ちを弾き始めた。
さて、今日も「ライブ」だな。
「でいごの花が咲き 風を呼び…」とマイク片手に熱唱。
自分で言うのもなんだけど、熱傷しそうなくらい楽しく歌ったよ。
お客さんは少なかったけど。
でも、中年男性と一緒の人たちが一緒に歌って、しかもカチャーシーまでやる人も出て
実に良いものだ。
歌い終わった。「お兄さん、ステージ慣れしてるね。結構やってるでしょ?」
「ええ、カラオケ大好きなので」
三線やってますから…、とはなんとなく言いたくなかった。
ひとりの観光客として今日は楽しみたい。
自分の後、別の男性が交互にステージに立ち、歌う。
それが30分くらい続いたかな?
この店は、わりとお客さんを歌わせる傾向のようだ。
それも良いね。でも、ほんとはもっと本場の民謡を聞きたい気もするね。
ソファでひたすら飲む。カウンターには、ガタイの良い外国人がいつの間にか来ている。
米軍だろうか? 常連客のようで、泡盛のボトルをキープしているようだ。
ライブは休憩になり、太鼓の女性がこっちへやってきた。
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