「ポンコツ君、あっちのテーブルの女性、ナイチャーだよ。キレイな人だね。私が声かけてあげようか?」
自分の気持ちを見透かしたかのように、美和子ママは「お姉さん、こっちへ来て一緒に飲みませんか?」と声をかけた。
「ええ、見ず知らずの自分がご一緒しても良いのですか?」
「大丈夫よ、この人(俺のこと)も内地の人だから」
若いスレンダーな女性がこっちのテーブルに移ってきた。
向こうのテーブルでは、夢ちゃんや、ゆまちゃんに沖縄顔のJリーガー・
我那覇選手に似たカレシが隣のテ-ブルで楽しくおしゃべりしたり、缶チューハイを飲んだりしながら(呆)、身体を寄せ合って、着うたフルの携帯から音楽を鳴らしては、みんなで歌っている。
まりかちゃんと「妹」はアスレチックやすべり台で遊んでいる。
さっきのスレンダーな女性に話を戻そう(笑)。
「私はダイビングで多良間島に来たのですよ」
「じゃあ、
ジョーズさんで」
「そうです。宿もそこの紹介で」
「ポンコツ君、一緒(の宿)じゃない」
スレンダーな女性(ここからは本田さんという・仮名)は
「お兄さんはひょっとして今の飛行機に乗ってませんでしたか? 私の前の座席でしたよね?」
「はいそうです。すみません、私はちっとも覚えていないです」
しばらく会話を楽しむ。本田さんはナカナカキレイな人で、しかもスタイルも良い。
どこを見ているのかと言われそうだが、「明日は私の娘が来るのですよ」とのことであった。
「えっ! ママなんですか」
「そうよ、23歳の息子もいますから」
とてもそんなふうには見えなかった。年齢はなんと美和子ママと一緒だそうで(笑)、
ふたりで会話が盛り上がっている。
ママは「今日の晩は予定ありますか? 一緒に飲みましょう」とか言っている。すごいパワーだ。
本田さんは「夜はダイビングショップで懇親会があるようですが…、時間が取れたら」
「あそこのボス、私とお友達だから」
ってなわけで、「ポンコツ君、夜も飲みましょう」
って言われたが、自分は、まだ師匠に会っていないっていう気持ちと、夜には三線の稽古をつけてほしい気持ちと、ゆまちゃんにカレシが居たとのショックから、心がぐじゃぐじゃしている。
少し周りが暗くなってきた。
夢ちゃんがみんなを軽自動車に乗せていくとのことだったが、本田さんはチャリンコで公園まで来ているという。しかも宿までたどり着けるか心配のよう。
「
あだんですよね、自分も同じ宿ですからボディーガードしますよ。一緒に行きましょう」
美和子ママは俺の下心を警戒したのか(笑)、「ポンコツ君は車に乗れば良いじゃない!」と言ってくれたが、自分たちは、既に歩き出していた。