ゆまちゃんが「多良間しゅんかに」を歌い終わった。
「ポンコツ君、今回の4曲は最優秀賞や優秀賞の課題曲もある。これをマスターできれば、宮古島民謡やってますって言ってもどこ行っても通用するだろう。しっかり稽古してください。来年はコンクールに出なさい。連絡しますから」
「わかりました。師匠、この半年の練習の成果を聞いていただきたいのですが」
「そうだね、ポンコツ君。やってみなさい」
自分は三線を手にし「では、まずは我んたが島から」と言って歌い始めた。
しかし、師匠の前、多少の緊張があるようだ。見事に間違えた。
「ポンコツ君、早弾きだからって、早く弾くわけじゃないよ。ゆっくりでいいからもう一回やりなさい」
再度弾く。何とか完走した。
「うーん、ポンコツ君。変なクセつけちゃってるね。多良間島からサイーって、伸ばさない。サイ! って切りなさい。2番からも同じ。そこを注意してもう一回歌いなさい」
再度歌う。これも無事完走した。師匠のリアクションが変わった。
手をたたきながら「ポンコツ君、良く練習してきたね。すごいじゃない。良くこの曲できるようになったね! 結構難しかっただろう?」
「はい、歌持ちも苦戦しましたし、歌の部分の運指はほんと難しかったです」
「この曲はね、モネ君もすごく苦戦してたよ。なかなか出来なくてね、モネ君は、しまいには“この曲は僕には合いません”とまで言ってね。私は“合いませんはだめですよ”って注意したくらいだから」
これで自分も多少、気を良くしたね。
「次は豊年の歌早弾きをやります」
と言って、三線を開始。何とか歌い終わった。さて、師匠の判定は?
「ポンコツ君、君は声を伸ばすクセがあるねえ。演歌じゃないんだから、伸ばさない。♪ぱーずみゃーしーよーーー!って伸ばさない。♪ぱーずみゃーしーよ で切りなさい。伸ばしたら息継ぎも出来ないでしょう。そこを気をつけてはい、もう一回」
もう一回、歌う。何とか完走した。
「ポンコツ君、すごいね。君はこれで早弾き2曲マスターだよ! モネ君もうかうかできないなあ…。ポンコツ君に追い越されちゃうよなあ…」
まあ、師匠の発言は社交辞令が入っているはずだが、自分の半年間の孤独の稽古が間違っていなかったってことの証明になった。嬉しいね。
まあ、これくらいでモネを超えたとも思っていない。ただ腹はモネを肥えたがね(爆)。
「ポンコツ君、次は豊年の歌遅弾き。録音するから、モネ君が多良間島に来たときに聞かせよう。きっとびっくりするでしょう」
「豊年の歌」を歌う。この一年いろんなところで、歌ってきた。発音は自信がないけどね(苦笑)。
「どこか悪いところないですか?」
「別にない。良く練習しているね。じゃあ、次はなりやまあやぐだね」
最後は「なりやまあやぐ」を歌った。
「ポンコツ君、今後も宮古民謡に親しんでください。では、お誕生会行きましょう。君も歌うんだよ。今日は80歳の年配の女性が相手だから、そうだね、かたみ節がふさわしいな」