もう多良間か? たらまー9
「ポンコツ君、小屋の中は暗いからランプを点けよう」
「電気通ってましたっけ?」
「ランプだよ。そこに灯油があるサー!」
マッチを擦って火を点ける。ガス燈のような明るさが、小屋を照らす。
いろんなガラクタが見える。
「師匠? この風呂桶は何ですか?」
「ああ、これはね見た目そのままの風呂桶さ。これにお湯を入れて入ると気持ち良いさー」
沖縄の家庭には通常風呂桶はなく、シャワーがもっぱらだ。
でも、一人入るのがせいいっぱいだね。
恋人と一緒に入っていちゃつくには狭いな(爆)。
小屋の中のガラクタを全部一旦撤去し、床を掃いていく。
「おお、ポンコツ君。きれいになったねえ。君はここで暮らすか?」
「虫がたかりそうですし、遠慮します(笑)」
「そうか、次回多良間島へ来たらここで寝なさい」
小屋の掃除もある程度終わった。
「ポンコツ君、今日はこの辺で終わろう。晩だけど、実は私は風邪をひいていて調子が悪い。晩酌と稽古は明日だね」
「そうですね。私もまだ二日酔いなので、寝ます」
ぼろ軽トラックは市街地(?)へ向けて走る。
島内は意外に道路が整備されているが、道のあちこちで大きな水溜りが出来ている。
島の水はけはどうやら悪いようだ。
師匠が運転しながらつぶやいた。
「ポンコツ君、車にシャワーを浴びせよう」
と言ったと思ったら、車は水溜りの中へ突っ込んでいった。
「シャー!」と師匠は奇声を発しながら、次々と水溜りに突っ込み、しまいには反対車線にまで
飛び出した。
まあ、対向車は普段は無いから(笑)、別に良いが。
今日の再会から最後まで、オオボケ全開の師匠であった。
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