もう多良間か? たらまー25
「師匠もなんか歌ってください」
流れてきた音楽は、どっかで聞いたようなイントロだな。
「ゆやあきどぅ …」
あれ? 「家庭和合」じゃないか? カラオケになっているんだな。
師匠は機嫌よく歌う。
「ポンコツ君、良く聞いていなさい。3番は歌えよ」
「師匠の後じゃ歌歌えないですよ」
といいつつも、マイクを引き継いで3番を歌った。
ギャラリーからは「おっ、うまい!」ってな声もかかったね。
時計は12時を回ったようだ。
子供たちは先に帰ることになった。
ゆまちゃんが黙って左手を俺に差し出してきた。
黙って手を握り締めた。ほんの数秒。
師匠たちが居なかったら、
ずっと握っていたいくらい…。いや、その場で抱きしめちゃうかも(爆)。
(師匠に射殺されるかもしれないが…)
4月からは高校進学で多良間島を離れるゆまちゃん。
自分はこれからも多良間島へ通うだろうが、もうたぶん会うことはないかもしれない…。
何のためにこれから多良間へ行くのか?
ゆまちゃんに会うことが、僕のモチベーションになっていたんだよって、伝えたかったな。
そう思うと、この数秒で少しでもゆまちゃんの熱を感じたい…ってな思いで、
何故か胸が熱くなっている自分が居たのであった。
さよなら、ゆまちゃん。
関連記事