あだんで夕飯を食べた。今日の新聞が来ているようで、拝見しよう。
宮古毎日新聞だ。あれ? 昨日のフェリーの一行だな?
記事を読むと、昨日のテレビカメラの一行は、多良間島の観光視察団とのことで
宮古テレビが同行取材をしているものだった。
そういうことね。
変に納得していたら、携帯が鳴った。やっぱり師匠だった。
「ポンコツ君、夕飯食べに来なさい」
マンションへ向かう。
玄関を開けて入ると、さっそく聞こえてきたのは夢の罵声だ(笑)。
「まったく! ママはずっと早く宿題やるんだよ! っていってたのに…。マリカは何もしなかったね」
明日から学校のマリカは、宿題が残っているらしい。
ふてくされているマリカが居るのであった。
オジイ(師匠)も夢に同調し、「ジイもマリカに毎日言ってたよね」と言う始末。
「俺が加勢してやろうか?」
「だめだよポンコツ! たまにはマリカにさせないと」
「たまには、って…」
「うーん、手伝ったりするサー。ポンコツは、私とご飯作るの手伝って!」
台所で夢の料理を手伝う。怖い風貌に似合わず、夢は料理をそれなりに作るようだ。
なんだかんだ言って台所でふたりで、会話をしながら料理を作っている。
これが将来毎日にならないことを願う…(苦笑)。
ゆまだったら、喜ぶのだが。
食事が出来たのでみんなで食べる。自分もさっきあだんで食ったがまあ良いや。
食事をし、師匠と自分は酒を飲む。
師匠は疲れているようで、三線を取り出す気配もない。
やがて師匠はどこかに電話をし始めた。
「やあ、今ね鹿児島のポンコツ君が来てるよ。ほら、モネ君の友達さー! 一緒に飲まないかね」
そういって師匠が電話を切った。
「今誰と会話したのですか?」
「色黒の中年男だよ。ポンコツ君に会いたいから来るとのことだ」
数分して色黒の中年男が来た。1年ぶりの再会だ。
「よし、今日は再会を祝して乾杯だ! これからオトーリ回します」
師匠がオトーリグラスに泡盛を注ぎ口上を述べた。
「この前ね、谷村新司や千住明さんとね、オトーリやったよ!」なんて言っている。
グラスはグルグル回り、師匠は上機嫌になったのか
「バイバイバイ 私のあなた…」なんて歌い始めている。
テレビの上の写真たてには、師匠と谷村新司・千住明とのスリーショット写真が飾られている。
やがて師匠は寝てしまった。
自分は、色黒の中年男と泡盛を飲み交わしている。
「ポンコツ君は、よく多良間来るねえ。ここに住んだら」
「そうですね。はるかな夢ですが、いつか正夢にしますよ」
三線の稽古は出来なかったけど、仕方ない。今年は亀になろう。
あせることはない。島も、民謡も逃げやしないさ。おやすみなさい。