ボロ小屋のそばには真新しいトラクターが停まっている。
ローンを組んだんだろうか?(笑)
整地された畑が一面に広がる。
ここも夏になればまたキビ植えになるであろう。
まあ、今年の夏は加勢するつもりはないが(笑)。
「ポンコツ君、私はヤギも本格的に飼育しようと思ってね」
と言って指差した場所にはなんとヤギ小屋が。
「今からヤギにえさをやるから。あの木の葉っぱをあげると喜ぶんだ」
「食べるんですか? あれを」
「そうだ。ポンコツ君、君は倉庫にある脚立を持ってきなさい!」
自分はボロ小屋へ行き脚立を持って、師匠が指示した大きな木の下に行った。
「私は脚立に上って葉っぱを落とすから、ポンコツ君はそれを拾って袋に入れて欲しい」
袋は10以上ある。結構な作業だ。
師匠は起用に脚立に上り、葉っぱを落としていく。
葉っぱというよりは幹や枝であるが、こんな太くて硬いものをヤギは食べるのか?
「ヤギは何でも食べるサー! ポンコツ君、出来るだけたくさん詰めなさい」
用意していた袋はまんぱんになった。
「今からトラクターを持ってくるから、袋を乗せなさい」
師匠は小屋のそばにあるトラクターを取りに行って、数分したらトラクターごと
戻ってきた。
「ポンコツ君、どうだい。良いトラクターだろ? こいつは性能が良いんだ。荷台に乗りなさい」
自分はえさと同じで荷台に乗せられ(笑)、トラクターはヤギ小屋へ進んでいく。
多良間の風が心地よい。
「ここに袋を乗せて置きなさい。私が今日から宮古だろ? あとは夢(師匠の娘)が時間を見計らって
えさをやりに来る」
「夢は留守番ですか?」
「そうだ。仕事もあるようだし」
「このヤギは出荷するんですか?」
「そうだ。食用になる。高く売れるぞ! ポンコツ君、あと数ヶ月すれば食べられる。
君が夏に来たときにバーベキューをしよう。私がヤギを逆さに吊るから、君はナイフで頚動脈を切りなさい!」
「いやあ、残酷だ。私には出来ません」
「そうか、まあ次回に食べましょう」
師匠は、ポンコツが夏にも多良間に来ると思っているらしい。今年はもう来ないつもりだが…。