三線持って上京か? 5
この日はどんよりとした曇り空で、結局晴れることはなかった。
モネが三線を弾き終わり、自分は手がかじかんでいたので三線を弾くことはなく、
新しいソフトケースにしまった。
「ポンコツは鶴見には行くのかい?」
「うん、夕方行くつもり。高校の同級生と飲むサー!」
「軽音?」
「そうといえばそうだが、でもいつものメンバーじゃない。今は湘南にそいつは住んでいるサー!
沖縄仲間なんだよね。松さん(仮名)だけど」
モネは、松さんのことは知らないみたいで、これ以上会話が成立しなかった。
そろそろ帰るとしよう。モネもなんだかんだ療養中の身であるし。
越谷レイクタウン駅から武蔵野線に乗り、南越谷で降りた。
ここは、自分が草加南高校に通学していたころから、そんなに変わってないな。
まあ、東武線が高架になり、準急が急行に変わったりはしたが。
「ポンコツ? 鶴見を楽しんでくれ! 自分は近くの図書館へ行くよ。また沖縄で会おう!」
「そうだね。那覇あたりで今度は再会しよう」
モネは駅の南の方向へと歩いていった。
前回の宮古島のときみたいに、見えなくなるまで手を振ることはなかった。
ここは都会だし、周りに人が多いからね。
モネも生命の危機を脱したようだし、再び表現者として闘志を見せているね。
自分も負けられないな。まあ、自分は三線だけに専念できない環境だけど。
それはみんな同じか?
東武線に乗り、急行で押上まで行く。
便利になったものだ。押上からは都営地下鉄に乗り、そのまま京急へ直通するから
気が付いたら川崎まで戻っていた。
一旦ホテルへ戻り、松さんとの約束の時間になるまでテレビで相撲でも見よう。
相撲を見たら、さあ鶴見へ出発しようかな?
今日はどこの沖縄居酒屋へ行こうかな。
何件かネットで調べたけどね。松さんも軽度の沖縄病だから
どの店でも大丈夫だろう。
京急鶴見駅の改札で、松さんを待つことにしようか。
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