三線持って上京か? 6
松さん(仮名)は時間通りに京急鶴見駅にやってきた。
「やあポンコツちゃん、久しぶり!」
「松さん、鶴見まで来させてすまん」
「いやあ、別に構わないサー! それよりポンコツちゃん、店は決まってるのかい?」
「店は数件近辺にあるけど、今回はここにしましょうか?」
ってことで、やってきたのは、ほんと駅から一番近い
『かなぐすく』という居酒屋。
時間はまだ6時だが、すでにたくさんのお客さんでごった返している。
「いやあ、今年初の生オリオンですよ。嬉しいねえ」
「ポンコツちゃん、すっかり沖縄ひいきになったねえ」
松さんも呆れるほど、沖縄病の進行しているポンコツである。
今回のツアーは、うーん、友人との再会が目的ではあっても
やっぱりオリオンを外すことはできないよ!
「生をふたつ下さい!」
“はい、喜んで”とは言わなかったが、若い女性店員がにっこりしながら注文を受け、
すぐにビールは運ばれてきた。
「とりあえず乾杯しましょう! 昨年の4月に鹿児島で会って以来だね、乾杯!」
松さんは去年、遅い新婚旅行で鹿児島に来てくれた。
そのときは、キロロの
玉城千春さんに似た、黒髪のきれいな若い奥さん(年は10個以上下!)
が一緒だった。
「今回奥さんは?」
「いやあ、ポンコツに会いたくない…、ってのは嘘で、まあ今回は留守番だね」
とクールに松さんは語る。
松さんとは高校の同級生で、同じ軽音楽部ではあった。
でもその頃の松さんは、同じ部員ってな間柄で、どっちつかずとの関係だった。
会って飲んだり、たまにメールする仲になったのは、ポンコツが沖縄病にかかってからだから、
沖縄ってものが、松さんとの距離を縮めてくれたってことかな?
「ポンコツちゃん、つまみは何にする? もずくのてんぷらがおいしいんじゃない?」
関連記事