多良間へ行くのか? たらまー22
パティオでチャリンコを借りて稽古へと向かう。
市街地を走る。街灯なんて無い。月明かりが街灯代わり。
多少月は雲に覆われているが、それでも充分島を照らしてくれる。
市街地を何度も曲がって曲がってどこだかわからないうちに、その稽古場に到着した。
どう見ても普通の民家だ。玄関には「宮古民謡研究所」という立派な看板が掲げられている。
モネは玄関を素通りし庭を勝手に歩き家の裏側へと向かう。俺も後に続く。
どうやら小屋が別個にあるようだ。だが、先日の台風対策か、入口は頑丈に釘で打ちつけてあり人は入れない。
モネは再び玄関へと戻る。ベルを鳴らすと、中からでてきたのは白髪のオバアだった。
「後ろ、開いてないのですが。これから渡嘉敷(仮名)先生の稽古があるのですが」
オバアは「はあ、稽古は聞いてないけどまあ、上がりなさい」ってな感じで応対する。
モネへ遠慮なく上がったので、俺も続いた。中にはご先祖様の写真やお孫さんからの贈り物なのだろうか、メッセージの書いた色紙がたくさん飾ってある。
モネは携帯で渡嘉敷師匠に電話している。「師匠、台風防護の柵で稽古場に入れません」ってなことを言っている。
そう、多良間も携帯はしっかり通話できるのだ。
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