パティオでチャリンコを借りて街へ…ではなく前回行き忘れた塩川御嶽・フクギ並木へ向かう。
途中、小雨が落ちてきて傘差し運転となった。
〝どうせ車は来やしない…〟っていうのは誤りで(苦笑)、
狭い市街地でも車やチャリンコがそれなりに行きかうから、気をつけないといけない。
市街地を抜け、あたり一面の畑を抜けたらフクギ並木の入口があった。
案内標識を見る。間違いないようだ。
並木道に並行して、舗装されている道路もあるが、砂利道の並木道を
チャリンコを降りて押して歩こう。
このフクギ並木は沖縄県の天然記念物にも指定されているらしく、
砂利道の左右に見事に鮮やかな緑色を映し出してくれている。
「島々清しゃや フクギに石垣よ…♪」なんて口ずさむながら並木道を歩くと、いつしかあたりは暗くなり塩川御嶽に到着した。
古い小屋があるだけの場所だが、ここに神が常駐しているんだ。
〝どうか、今回のツアーも無事に過ごせますよう…〟
手を合わせ、ひたすら祈る。
御嶽のとなりは牧場になっていて、黒い牛が放し飼いにしてある。
鹿児島黒牛か? と聞きたいが、いらぬ反発を招く可能性があるからやめておこう(爆)。
並木道を戻る。見える景色は牧場と、さとうきび畑。
きび畑は、僕以上の背丈に成長して青々とした葉っぱが風に揺られているものもあれば、もう刈り取られていて大地の原色がむき出しになったものもある。
〝このきびをこれから刈るのか? 出来るかな?〟
実は、多良間島へ来た目的は、師匠や奥さんとの昨年の約束「キビ狩りを手伝う」を果たすためである。
ここへ来る二週間前、師匠の勤務先へした。
「師匠、モネ君の友人で昨年一度お会いしたポンコツです。覚えていますか? キビ狩りを手伝いたいのですが…」
「…」
「夏にキビ植えを体験した…」
「ああ、あのときのか…。いつ来るのかね。ウチに泊まっても良いよ」と言ってくれたが、「パティオを手配してます。2月の18日に着く予定です」と言って電話を切った。
それから、今まで連絡をしていない。途中、気が変わった。
〝まだ、俺は一度しか会っていないぞ! それに去年はモネが居たから行ったようなものだし。ポンコツよ、図々しくないか?〟
と自分で自問したのだ。
〝多良間島へは行こう。でも、こっちから師匠を探すのはやめよう。ストーカーじゃあるまいし。何もない多良間を、自分の思いで旅してみよう…〟
フクギ並木を抜け、パティオへ戻ろう。
ちょうど今はお昼時間だな。
Aコープがあったね? そこで食事を買うか。
市街地までチャリンコをこいできた。うーん、トイレに行きたくなった。
どっか貸してくれないかな? Aコープの前を通り過ぎ役場の通りへ出た。
公共施設があった。
〝ここで便所を貸してもらおう〟チャリンコを置いてドアを開けた。
事務室に中年の人がいたので声をかけた。
「すいません、トイレ貸してください…、あれ? 師匠ですよね? 鹿児島のポンコツですけど。どうしてここにいるのですか?」
「今日は午前中は仕事だよ」
ここで働いていたのか…。思わぬ形で【再会】した。