ハスキーボイスの歌姫・千晴さんが歌う「涙そうそう」や「さとうきび畑」
は、大変胸にしみる。
心なしか、酔いが回ってきた。
頭の中は、いろんな女のこと(何を考えているのか…)でぐるぐるしている。
重ちゃんが弾く三線の音の良さにはしびれるね。
ギターでいう、エッジが効いているような音だね。
心臓に響く三線の音。
ピックアップが内臓されている三線のようだが、実に音が良い。
もちろん、重ちゃんのテクニックも特筆すべきものがあるが。
そして、小太郎さんのオベーションは、宮古のおだやかな海のような心地よさだ。
カウンターで何杯もシークワーサービールを飲みながら、
静かにライブを楽しむ。
ライブが終わった。
重ちゃんは夕飯を隅のテーブルで食べている。
「お客さん(俺のこと)、良かったらこちらへ来ませんか?」
テーブルに移っておしゃべりをしよう。
重ちゃんはその大きな図体には似合わず、とても社交的だ。
「僕は三線やってまだ5年くらいだよ。お客さんのように真剣に三線やっているとは言えないし。
適当に爪弾いて耳コピで覚えたって感じサー」
「重ちゃんさんを自分は、何年か前ガイドブックで見たことがあるのです」
「それって、るるぶのことじゃない? あの写真で三線持ってるけど、始めて間もないころだったかなあ…」
重ちゃんと名刺を交換して、次の再会を約束した。
カウンターへ戻る。
厨房に数人居て、一人は沖縄顔のお腹の大きな女性がいる。
この人が小太郎さんの奥さんかな?
「あれ? 奥さんですかね?」
「はい。そうですよお」
「ブログに載ってましたけど、もう出産間近だから奥さんは休ませるって…」
「書いてあったでしょう? でも働かせてます(笑)。鬼のような亭主ですね(爆)。いや、ていうか
お客さん、ブログ読んでますねえ…」
見た感じややこわもての小太郎さんであるが、気さくな方で安心した。
「TWO BIGで何曲か歌いますから、聞いてってください」