3人で音を出していたら、少しずつお客さんが店内に入ってきた。
美和子ママも知り合いの女性を連れて来てくれた。
「あっ! ほんとに演るのね」
ママも驚いているようだ。
「ポンコツさん、ぼちぼち始めましょう。音出してればお客さんも集まってきますよ。軽くセットリスト確認しましょう」
小太郎さんとかーずさんと打ち合わせをしてさて、ライブの開始だ。
1曲目は、沖縄ポップスの定番「すべての人の心に花を」だ。
思ったより自分の三線の音は聞こえにくかったが、その分ギターとベースの音を聞いて
合わせよう。
昔、バンドやユニットも結構やってた経験が生きているね。思ったよりしっかりしたユニットじゃない?
TWO BIG+ポンコツ君は(笑)。
お客さんも結構集中して聞いていてくれる。
せっかく沖縄・宮古島へ観光に来て楽しい夜が、俺の唄三線で台無しになっちゃあかん!ってな
気持ちで一生懸命やったな。
「童神」と「19の春」は小太郎さんと交互にボーカルを担当。
ほんと、今さっき打ち合わせしたばっかのユニット?
拍手や手拍子ももらえて、宮古での「デビューライブ」は何とか「可」かな。
4曲目は「なりやまあやぐ」だ。さっきの打ち合わせでは「民謡は変拍子があるけど、僕たちは拍子をアレンジしているから。
ポンコツさんの好きなように弾いてください」
とのことで、ギターとベースの音にも気を配りつつ、歌う。
本場宮古島で、宮古民謡の新人唄者・ポンコツが歌う。
お客さんは、美和子ママたちを除けば観光客ばかりのようだが、地元の耳の肥えた人が聞いていたら
どんな感じだったかな?
最後は「豊年の歌早弾き」。囃子も出て、いつもの3倍の音の迫力に我ながら酔いしれた。
何とか、ぶっつけ本番のライブが終わった。
「ポンコツさん、始めてにしてはズミー! でしたよ。また宮古に来るときは連絡ください。今度はあなたの(ライブ)時間を
用意しますから」
「ありがとうございます。そう言っていただき、光栄です。次回は来年だと思いますが、ここへまた来ます」
毎日ステージに立ち、現役バリバリの耳の肥えている小太郎さんのこの一言は、ポンコツ君にとって自信になったね。