八重山巡りか? やい、まー35 宮古へ

ポンコツ34@那覇

2008年02月04日 22:55

美和子ママが案内してくれた店は、外観はコンビニそのもの。
レジのあるカウンター前に椅子が数個用意されていて、そこで腰掛けると
これがまたちょうど良いのよね。
その場所で飲みを楽しんでいると、店のドアが開いて中年の(失礼!)女性が入ってきた。
「こんばんはあ、あら、美和ちゃんもう出来上がっている(笑)」
「小雪さん(仮名)、この人覚えてるでしょう? 鹿児島のポンコツ」
「覚えてるわよ。この前和おんで歌ってた人」
「小雪さんご無沙汰してます。宮古に寄りたくなって来てしまいました」
「あら、それなら飲まないとね。はい、カンパイ!」
ってな感じですっかり飲みまくってしまっているポンコツであった。
店のBGMは何故かラジカセからいろんな宮古民謡が流れている。
ほんと、気分が良いものだ。
クイチャーが流れてきた。僕は無意識に席を立ち、クイチャーの踊りを見よう見真似で始めた。
ふたりが言う。「ポンコツ? そうじゃないよ。教えてあげるからこうやって踊るの」
小雪さんが席を立ち、手ほどきをしてくれる。というか、いつの間にか二人とも
俺そっちのけで踊り始めている。
うん、クイチャーは宮古人の根っこにしっかりと埋め込まれているんだね。


クイチャーのあとは、さすがに飲みまくって酔っ払ったようだ。
でも、酔っ払いながらも結構美和子ママと会話をしたのだがね。
「ゆまはポンコツみたいにちゃんと(三線を)練習すれば良いのにね。あの娘は才能だけでやってきたからね。
重信先生はゆまのCDを出そうって言ってくれてるのに、本人はその気ないし。この前のコンクールは練習しないで
受けたから落ちちゃったし」
「ゆまちゃんがやりたいように、行きたいようにするのが良いと思いますよ。それに一回くらい挫折したほうが本人のためです」
「ポンコツ? あなたゆまを狙っているでしょう(苦笑)」
「嗚呼、そう見えますか? でもそうなったら犯罪ですよ。僕は藍ちゃん(仮名・一番上の子)だったら…」
ママが血相を変えて「藍はだめよ! あの娘はほんと男運なくてかわいそうなのよ。変な男にだまされてきたから…」
「あっ、僕は藍ちゃんに会ったことないからどんな人かわからないけど、師匠の家に飾ってあった写真だと、優しそうな感じが
したから」
「ポンコツ? 私はあなたとは身内になりたくない。変な意味じゃなくってよ。身内になったら飲み友達がひとり減っちゃう」
「すみません。冗談にしてはキツかったですね。僕は、今の家・家族と決別したいんです。暗い醜い家系だったから。心が貧しい家系だから。師匠ファミリーが僕の憧れなんです。渡嘉敷って名乗っても良いのです。(師匠の)養子になっても良いのです」
「ポンコツ? 親が泣くよ…。気持ちは嬉しいけど」
小雪さんが言う。
「ポンコツ? だったら夢が良いんじゃない。あの娘は良い子だよ」
「夢は怖い。勘弁してください(苦笑)」
「ポンコツ? 冗談よ(笑)。来年も民謡コンクール受けるでしょう。来年は“多良間しゅんかに”歌うんだよ」
「多良間は最高賞でしょう? まだ受けられないですよ」
「そうね。じゃ2年後だね。ポンコツ? 宮古に住んだら」
「うーん、この年じゃ仕事ないし。アパート借りるのも保証人が居るし」
「そんなこと心配しない。私たちがなるわよ、ねえ美和ちゃん」
嘘でも、酔った場での話でも、その宮古人の気持ちが嬉しかったねえ…。おやすみ。

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