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2010年08月30日

多良間に居るのか? たらまー37

「では、ポンコツ君、“興那武岳金兄小”をやろう。歌もちをまず一緒に弾きましょう」
三線を師匠が弾き始めた。自分は工工四を見ながら付いていく。
「はい、そのまま歌うよ。1番だけでも歌ってみなさい」
「ゆなんだきーだーきみぶす かにすうざがあまあよー ささがよう ひやあるうがーひー音符オレンジ
ともうわけがわからない。
「さすがに2番からは無理だね。良く聴いておいてね」
師匠はそのまま警戒いや軽快に4番までを一気に歌い終えた。
「師匠、こんなの無理ですよ!」
「まあ、今のレベルなら無理かもね。でも、君は私の弟子だ! 無理とは言わせません! 稽古してきなさい!ムカッ
「わかりました」
ここから飛行機がフライトするまでのわずかな時間だが、ようやく師匠が本気になった気がしたんだな。
渡嘉敷民謡研究所、今は曲がり角だ。
宮古民謡の申し子・ゆまちゃんは島を去り(もう三線三線もやっていないだろう)、
後継者として期待をかけていたまりかちゃんは「三線三線はやりたくない!」と言ったそうな。
「暗男に三線教えたらどうですか?」
「婿殿も民謡は好きではないらしい…ぐすん
弟子の数も減り(役場を辞めたせいもあるだろう)、渡嘉敷の研究所看板もこころなしか
寂しく見える。
「ポンコツ君、君は渡嘉敷の最後の誇りなのさ。鹿児島からこうやって通ってきて、
君は宮古の人間にも負けてはいない! 興那武岳金兄小もできるようになりなさい…おすまし
ぼそぼそ呟く師匠の姿が、やけに寂しく見えたのであった。
多良間に居るのか? たらまー37




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Posted by ポンコツ34@那覇 at 20:42│Comments(0)多良間島
 
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